宝塚大劇場にて星組『ディミトリ~曙光に散る、紫の花』を観ました。
私が最も好きなトップさんは礼真琴さんです。
礼さんの生舞台は、礼さんが二番手のときの『スカーレット・ピンパーネル』を見て以来2度目なのです。
コロナの時代となってからは、ライブ配信を見たり、Amazonプライムで過去の作品を見たりはしていましたが。
久しぶりに礼真琴さんの生舞台が観られるうえに、暁千星さんというキラキラ満開の方も加わり、前評判もよいようですし、もう楽しみでたまりませんでした。
で、観たあとの感想は、普通によかったです。
・・・なんといいますか、、、予想通りとはいかず、ましてや予想以上とはいかず、、、。
いや、星組のみなさんには全く非はありません。
心配どおり、『月雲の皇子』と『桜嵐記』を完全にひきずっております。
*『ディミトリ』では、副題にもあるように、ディミトリとルスダンふたりの歴史を見守るものとして、紫のリラの木が象徴的に使われています。
しかしですね、日本人の心にぐっとくるのはやっぱり桜なんですよね。
南朝の没落および楠木正行と弁内侍の悲恋に、夢のように美しく咲きながらもすぐに散りゆく運命の桜の花を絡め、滅びの美を見る者に深く刻み付けた上田久美子さんはやっぱりすばらしい。
上田久美子さんは別として、同じ生田大和さんの作(脚本)・演出であっても、花組の『巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~』のほうが好きでした。
別れてから、かなりの年月を経ての修道院でのマリーとリストの再会。あのシーンが好きでした。二人が別れてから違った道のりを歩み、それがもはや埋められない距離となっていることを、柚香さんと星風さんが抑制の効いた演技で表現していました。
かといって、礼さんに『巡礼の年』のような作品が合うかといえば、そうでもなく。
礼真琴さんがトップになってからの作品では、依然として『ロックオペラ・モーツァルト』と『ロミオとジュリエット』が最も好きです。
礼さんに合っているという意味で、あの二つを超える作品に礼さんがまだ行きあたっていないように思えるのです。
*次は、礼真琴さんの「歌」について書きたいと思います。