おとめな宝塚

新米そしてライトなファンによる宝塚観劇記

上田久美子氏演出『田舎騎士道』&『道化師』鑑賞

上田久美子先生が演出したヴェリズモ・オペラ『田舎騎士道(=カヴァレリア・ルスティカーナ)』と『道化師』を観てきました。

劇場に入ってすぐに、ウエクミ先生がホワイエに普通に立っていらっしゃるのを見つけて、早くもテンションアップ。

*ポリコレ的にこういう言い方は好ましくないのでしょうが、写真よりさらにおきれいでした。

 

わたしは10年以上のオペラファン。

上田久美子先生を知らなかったら、「えっ?歌い手とダンサーが二人で一役?興味ないよ。普通にオペラを見せてよ」と思い、チケットは取らなかったことでしょう。

しかし、ウエクミ先生だったら、問題作ではあっても凡作はないと確信してチケットをゲット。

 

感想としてはですね、まずオペラの要であるオーケストラと歌手陣がすばらしかったので、そこでまず満足。歌手がうたい、ダンサーがその心情表現をするというプランは、まあ成功していたと思います。

あとはウエクミ先生らしく、空間の使い方がオペラ演出としては斬新。2階(3階かもしれない)バルコニー席にもコーラス部隊を配し、客席最前列前や客席から舞台に上がる左右両端のスロープを使っての演出はさすがでした。

 

ダンスですが、『田舎騎士道』の主役ダンサーの三東瑠璃さんという方の踊りが圧巻。全身表現の塊なのです。

それに比べると、『道化師』の主役ダンサーの元宝塚トップ娘役さんの踊りは伝わるものが小さかったです。

宝塚って、音楽学校時代から「歌、ダンス、芝居」の3つに精進しなければならず、過酷なわりには中途半端な舞台技術しか身につかないのかも、と思いました。

パンフレットの三東瑠璃さんの紹介文として、「5歳からモダンダンスを始める。生きることは踊ること」と書かれてあって、そういう道一筋の人には叶わないよなあと思ってしまいました。

 

歌い手、踊り手を別々に見ると、かなり技術が高い舞台であったと思いますが、正直なところ、オペラファンとしては、次回は「歌手とオーケストラ」のみで、ウエクミ先生による巧みな空間演出、読み替えだけで観てみたいかなあ。今後ウエクミ先生がオペラに関わるかどうかはわかりませんが、オペラファンとしてはぜひ関わってほしいです。

*これは結びの句として適当に書いたのではなく、オペラ芸術の進歩のために関わってほしいと心から願います。